民事再生とは
民事再生には『小規模個人再生』と『給与所得者等再生』の2種類が存在します。
過去に申立てられた件数では『小規模民事再生』が圧倒的に多いです。
自己破産との違い
民事再生は、自己破産の一歩手前の整理方法として考えられ勝ちですが、自己破産との最大の違いは、民事再生では債務の一部返済の意思表示をすることで、自宅などの財産を手放さずに債務を圧縮できると言う点にあります。
民事再生の利用条件
- 民事再生の申立てを行う条件
-
■個人であること
■将来において継続または反復して収入が得られる見込みがある人(サラリーマン、自営業者、年金受給者など)
■債務(住宅ローン、公租公課以外(※1))の総額が5000万円以下であること
※1:公租公課(税金・罰金等)は民事再生によって減額されることはありません。
民事再生のメリット
* 専門家(認定司法書士・弁護士)に依頼すれば、その後は業者からの取立て・督促がSTOPする
* 債務の大幅な免責と将来利息のカットが期待できる
* 住宅ローンに関する特則(民事再生法10章)が適用されると、自宅を競売にかけられずにすむ
* 借金の理由がギャンブルや浪費などであっても手続ができる(免責不許可自由がない)
* 財産を処分しなくてもよい
* 申立て成立後の資格制限が無い
民事再生のデメリット
* 手続きが複雑で、専門家の助けなしで成立させるのが困難
* 解決までの期間が長い(9〜11ヶ月間程度)
* 債権者の半数以上の同意を得る必要がある
* 返済期間は法律で定められており(最長3年)、毎月の返済金額が高額になることがある
* 官報に掲載される(闇金業者などからDM等が送られてくる場合があります)
* 返済の積み立て金や予納金などを事前に支払う必要がある
* 住宅ローン特則が適用されない場合がある(住宅を担保に事業資金を借りている場合など)
* ブラックリストに載るため、調停成立後5〜7年間は新規の借入れやクレジットカードの利用ができない
民事再生手続きにおける、清算価値保証の原則
民事再生には、清算価値保証の原則というものがあります。
これは、財産(現金・住宅・車・株券など)を持つ債務者が再生手続きを行わずに、自己破産をした場合に、債権者が受け取ることが予想される配当額(清算価値)を下回らない金額を民事再生で弁済する必要があるというものです。
つまり、『自己破産する場合よりも債権者が受け取る配当が多くなければならない』という考え方で、債権者の利益を最低限保証するためのものです。
また、債権者への同意を得るための最低限の根拠でもあります。
民事再生の返済額の決め方
民事再生期間中の返済額は、
1).最低弁済基準額
2).清算価値保証の原則に基く清算価値(所有財産)
のうちで、高いほうが返済額となります。
1).最低弁済基準額は以下のように定義されます。
* 100万円未満の場合⇒債務の総額
* 100万円以上〜500万円未満の場合⇒100万円
* 500万円以上〜1500万円未満の場合⇒債務総額の20%
* 1500万円以上〜3000万円以下の場合⇒300万円
* 3000万円超〜5000万円以下の場合⇒債務総額の10%
2).清算価値保証の対象となる財産とは以下のようなものです。
* 不動産の評価額
* 自動車の時価評価額
* 現金・預貯金
* 生命保険を解約した場合の返戻金
* 退職金見込額の一部