お金と言う概念が登場する以前の人類は、『物々交換』による物のやり取りを行っていました。
「私の持っている牛1匹と、あなたの持っている麦100kgを交換しませんか?」と言う具合です。
ただ、物々交換の場合は、自分の持っているものを欲しがる人を見つけるのが大変ですし、何か物を持っていないと、何も手に入れることが出来ません。
そんな悩みから生まれたのが『お金』と言う概念です。
わらしべ長者
物々交換で有名なおとぎ話で、『わらしべ長者』と言う有名な話がありますね。
ある貧乏な人が、自分の持っているワラを物々交換を通じて、段々高価なものを手に入れていく、と言うお話です。
紀元前のお金
紀元前の昔は、お金は今のような紙幣ではなく、貝殻や石などの「物品貨幣」や、家畜や穀物などの「商品貨幣」が使用されてきました。
文明が発達し、異国間交流が増え、経済基盤が整うにつれて、金・銀・銅と言った金属を加工した、「鋳造貨幣」が登場します。
しかし、金や銀と言った金属はそれ自体が宝飾品などに使用されることもある高価なもので、盗難の恐れがあることや、採掘量の限界や持ち運びの不便さなどの問題を抱えていました。
紙幣の登場
中世に入ると、ヨーロッパを中心に、金・銀などの貨幣に変わって、紙の紙幣が登場します。
紙幣とは当初、持ち運びに不便な金銀を預け、預けた金銀を交換することが出来る「証書」でした。
この証書はただの紙切れでありながら、金や銀などと同等の価値を持つものとなりました。
こうして人々は、紙幣を金や銀といつでも交換できるもの=それ自体に価値があるもの、として証書での取引が開始されました。
金本位制
金(きん)に一定の価値を定めて、金と交換できる紙幣=価値がある紙と言う考え方を「金本位制」と呼び、世界恐慌の頃まで広く使用されてきました。
その後世界はアメリカの台頭により、IMF(国際通貨基金)体制の下、アメリカドルだけが唯一金(きん)と交換できる通貨と定めた「ドル本位制」に移行します。
しかしアメリカは、1960年代のベトナム戦争などによる財政赤字の拡大から、1971年にニクソン大統領(当時)はドルと金との交換を停止(いわゆるニクソンショック)を発表し、ドル本位制も幕を閉じます。
こうして主要各国は、現在の「変動為替相場制」に移行しました。