相続の相談
課税対象となる相続は、年間何件くらいあるかご存知ですか?
下記の表は国税庁が発表した「平成29年分の相続税の申告状況」です。
赤線の課税対象被相続人数が、平成26年から平成27年にかけて2倍近く増加し、その後も2倍程度で推移していることがわかります。
また、相続財産の金額の構成比は、土地36.5%(平成28年38.0%)、現金・預貯金等31.7%(平成28年31.2%)、有価証券15.2%(平成28年14.4%)の順となっています。
グラフを単純に見ると、土地を相続する割合は年々減少している一方で、現預金を相続するケースが増えているようです。
参考サイト:国税庁ホームページ
急増した原因は、平成25年度税制改正により平成27年から相続税の基礎控除が下げられ、課税対象が急増したことによるものです。
平成29年分の被相続人数(死亡者数)は134万人なのに対し、相続税の対象になったのは11万人、割合でいうと相続件数全体のおよそ8%の人が相続税の申告対象になっているのです。
いままで相続とは無縁だった方が、今後は相続税の納税者になる可能性が高まったといえます。
また相続の場合、事前に対策を行なっておくことで、大きな節税につながることもあります。
財産の配分で争い事があるときは、弁護士に相談することになりますが、「生前贈与など相続の生前対策や相続税」のことであれば、税理士に相談することが適しています。
ただし、税理士であれば誰でも良いわけではありません。
やはり相続を得意とするに税理士に相談しなければ、良い結果を得られないことも考えられますので、税理士選びは慎重に行わなかればなりません。
ポイントは、相続税申告の「専門知識」と「豊富な経験」をもつ税理士を探すことです。
相続争いがあるときは弁護士に相談すべき
では財産分与などで、親族間の争いがある、起きそうというケースについて見ていきましょう。
「弁護士」に相談するケース、「どういったケースで相談すべきか?またそのタイミングとは?」についてご紹介します。
弁護士に相談すべきなのは上記のとおり「相続人同士でトラブルがあるケース」です。
特に揉めるのが誰がどれだけ相続するかを話し合う遺産分割協議のときです。話し合いが上手く行かずに調停や裁判になってしまった場合、弁護士の出番となるのです。
裁判だからと言って、必ず弁護士を依頼する必要はありませんし、自分1人の力で挑むことも問題ないのですが、裁判は心的にも肉体的にも非常に負担となりますし、法的知識がなければ裁判に不利に働くことが多いため、裁判を少しでも有利に話しを進めたいのであれば、専門家である弁護士に依頼する方が良いでしょう。
また将来的に相続問題が発生するかもしれないが、たいした財産はないから無関係と思っている方は注意が必要です。なぜなら家裁で遺産分割調停を受けた件数のおよそ7割が遺産金額5000万円以下のものです。
自分は関係ないと事前準備を怠っていると、あとあと面倒が大きくなる可能性もあるのです。
では相談するのにベストなタイミングはいつでしょうか?
それは「相続人同士で意見の食い違いが出てきた時」です。
自分は被相続人のお世話をたくさんして来たのだから、多く貰ってもおかしくないといった主張を自分は妥当だと思っていても、他の相続人が必ずしも納得するとは限らないですし、法律でお世話をした経費として認められる範囲にも限りがあるためです。
例えば、ある人にとっては金銭の問題以上に、土地や家に強い思い入れを持っていることもあります。
お互いの主張を受け入れられない場合、感情的な話し合いに発展しかねません。そうならないうちに、間に弁護士など第三者を挟んて、話し合いをすることをお勧めします。
弁護士に相談というと大げさに考えてしまう方もいますが、「相談=依頼」ではありません。中には無料相談を受けている弁護士もいますので、まずは弁護士に相談して、第三者からの意見と知識を得ましょう。
相続問題を弁護士に相談するメリット
相続の問題を専門家である弁護士に相談するメリットはいくつか考えられます。
無駄な揉めごとを回避できる
大切な身内と揉めるのは本当に辛いことです。ギスギスした関係にならないうちに間に弁護士を挟む事で、冷静に他の相続人と相対する事ができます。
相続問題が発生する前、仲良くできていた親族であればなおさらです。弁護士に依頼して「あれ?そんなにイライラすることでもなかったかもしれない」と思えれば大成功かもしれません。
書類作成や裁判代行をしてくれる
遺産の分割で決まったことを記しておくのが「遺産分割協議書」です。そしてこの遺産分割協議書は相続の手続きをすすめる上で非常に重要なものになります。
例えば、何の争いもなく正確に間違いなく遺産分割協議書を作成できるのあれば、問題はありません。しかし専門家でなければこういった完璧な遺産分割協議書を作成することは難しいでしょう。
つまり弁護士に依頼すればこういったリスクはなくなり、後々のトラブルを回避することにもつながるのです。
弁護士に相談するデメリット
揉めごとが大きくなる可能性もある
「法律に則り、依頼者にとって最高の利益に導くこと」が弁護士の仕事です。
つまり依頼者があなたであれば、あなたに最高の利益をもたらすために動くことが、あなたの身内にとっては不利益になることがあるのです。
あなたの身内が「依頼者の最高の利益の追求」に仇なすなら、もめてでもあなたの利益を確保しようとしてくれるかもしれません。
また後述のとおり弁護士費用は獲得金額によって左右されます。
弁護士も自分の報酬額を増やしたいので、あなたのためでなくても、できる限りたくさん利益を追求しようとするでしょう。もしあなた自身があまり揉めたくないようであれば、「◯◯以上は揉めたくない」と相談の段階できちんと伝えておく必要があります。
その上で「いや、もっとあなたは遺産を相続できる権利があります。もっと請求しましょう!」と訴えてくる弁護士は、少し考えた方が無難かもしれません。
費用がかかる
弁護士も仕事として受任するので、費用が発生します。相続に関わる弁護士費用のおおまかな目安は以下のとおりです。
名称 |
費用 |
概要 |
備考 |
相談料 |
無料〜5000円程度 |
弁護士に法律相談をする場合に必要な費用です。「30分あたり5000円」が目安です。 |
最近では「初回無料相談」を実施している事務所も数多くあります。 |
着手金 |
10〜20万円程度 |
依頼に着手する前に支払う初期費用です。基本的には一括払いですが、分割払いに応じてくれる事務所もあります。 |
報奨金は結果によって支払い金額が上下しますが、この着手金は金額が変更になる事はありません。 |
遺言書の作成 |
10〜20万円程度 |
遺言書の作成を弁護士に依頼する場合に発生する「遺言書作成手数料」です。内容の複雑さなどで手数料が変動する可能性もあります。 |
「公正証書遺言」を作成する場合は、公証人への手数料が別途5000円〜10万円程度必要になります。 |
遺言の執行 |
30万円以上 |
遺言の執行とは、遺産の配分など、遺言の内容を実現させることです。この際は「遺言執行手数料」がかかります。この額は遺産額や相続人の人数などによって変動します。 |
遺産額が3000万円の場合は50〜100万円程度が目安となります。 |
相続放棄 |
10万円程度 |
相続放棄を依頼する場合は、家庭裁判所への申し立て手数料として10万円程度かかります。 |
事前に相続財産や相続人を調べる場合は、調査費用が5万円程度発生します。 |
遺産分割協議 |
着手金+報奨金(10〜数百万円程度) |
ほとんどの相続トラブルはこちらの方法での解決となります。
着手金と報奨金からなり、最低着手金は20〜30万円の事務所が多いようです。 |
報奨金は解決後の経済的利益×◯%となります。
経済的利益が300万円以下の場合、利益×16%程度となります。 |
遺留分の滅殺請求 |
着手金+報奨金(10〜数百万円程度) |
遺留分とは、遺言書の内容に関わらず、最低限相続できる財産のことです。弁護士に依頼する場合は、請求額や獲得額によって費用が変動します。 |
費用額は遺産分割協議の場合とほぼ同額になります。 |
弁護士費用は仕事を依頼すればどうしても発生する費用です。弁護士自身の人間性やご自身の経済的観点から、納得のいく金額を交渉してください。※参考金額のため、必ず依頼する弁護士にご確認下さい。
弁護士の選び方
分かりやすく説明してくれる・不利な情報も教えてくれる
質問をしたときに、曖昧な回答や専門用語ばかりで、依頼者の立場に立った回答ができない弁護士は良い弁護士と言えません。
依頼者の目線まで降りてきて、有利、不利などに関わらず依頼者が理解できる説明をする弁護士は、自分の言葉に自信と責任を持っています。このような人は信頼に値します。まずは質疑応答からあなたに適した弁護士を探してみてはいかがでしょうか。
相続税のことまで配慮してくれる
財産を相続すれば「相続税」という税金がかかります。相続する額によってはバカにならない金額になることもあります。
預貯金以外の、不動産や株券などを相続する際は、「現金がなくて相続税が払えないから物納するしかない」という事例も数多くありますので、相続税のこともきちんと考えてくれる弁護士を選びましょう。
相続問題の解決実績が年間20件以上ある
弁護士と言っても、やはり人によって得意分野が異なります。
相続関係の解決実績がどれくらいあるのか、どのように解決してきたのか、分割協議でどのような事が起こったのか、など、詳しく聞いておきましょう。
もし著書があればかなり実績の高い人だと言えますので、一つの目安にしてください。
「信頼できる人の紹介」や、「近場で開業しているから」と安易に依頼すると、後で「こんなはずじゃなかった」と思っても後の祭りです。
誰かからの紹介であっても、必ずご自身で一度弁護士に会い、「相談」なさってから、「ご依頼」されるかどうかをご検討下さい。
相続問題を結局どこに相談してよいか自分で判断できない・・・
相続に関する問題でお悩みの方は一度「相続の相談窓口案内」を受けてみてはいかがでしょう?
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相続の流れとは?
■相続の流れ
遺言書の確認、相続財産・債務の調査、相続放棄・限定承認、遺産分割協議(方法・作成時の注意)、相続できるもの、相続財産の名義変更など、遺留分減殺請求について時系列で説明。
だれに相談するの?
■相続相談はだれにする?弁護士・司法書士?
相続の相談、依頼をする場合の各専門家の業務範囲などを弁護士、司法書士、税理士、行政書士、土地家屋調査士ごとに説明。
相続税について
・相続税とは?(相続税計算・税額控除、相続税の申告・納税、相続税の申告手続)
・税額軽減・税額控除
・相続税の延納・物納
・相続税と生命保険
贈与について
・贈与とは?(課税/非課税)
・生前贈与とは?
※法改正により手続き方法などの変更が発生する場合がありますので、最終確認などはご自身で行って下さい。